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2022/10/12

eスポーツを活用した新しい地域創生事業の取り組みを推進。地域発、函館高専の学生が企画・運営する地域創生 eスポーツイベント開催レポート

FENNELと一般社団法人道南eスポーツ協会が発起人となった「eスポーツ×人材育成プロジェクト実行委員会」主催で、函館工業高等専門学校、函館市、函館高専地域連携協力会、産官学の連携のもと、函館高専e-sports愛好会が中心となる学生主体のeスポーツイベント「3BOX Vol.1」を7月3日、はこだてみらい館で開催いたしました。

eスポーツを通して函館の地域創生とeスポーツを教育に活用した地域初の取り組みとなり、地元メディアの取材、函館市⻑賞の受賞など盛り上がりをみせました。

 

◆開催の背景
近年、それぞれの地域が直面している人口減少や少子高齢化問題、多様性を求める社会情勢への対応、といった社会課題の解決を目指して、各地でeスポーツを活用した地域活性化事業が行われています。

その狙いは、「若者の集客」「インターネットを活用した全国的なPR」「幅広い層の平等参加」などにあります。しかし現実は、「集客ができない」「金銭的負担」「ゲーム自体への批判」「ゲームタイトル許諾の壁」が立ちはだかり、せっかくの取り組みも狙った効果が出せず、継続的な開催が困難な場合がほとんどとなっています。

そこで、世界大会等のイベント運営事業も行っているFENNELと、一般社団法人道南eスポーツ協会が、eスポーツの認知向上と、持続可能な地方創生事業を目指し、これまでの取り組みでは取り上げられなかった「eスポーツを活用した若者の人材育成」というコンセプトのもと「eスポーツ×人材育成プロジェクト実行委員会」を結成しました。

従来の「eスポーツ×地域創生事業」との違いは、人材育成「eスポーツeducation」に力を入れた以下の点です。
・「若者自らが考える地域活性化」
・「eスポーツを活用した社会的スキルの獲得」
・「社会で必要とされる人材をeスポーツで育成」

学生が考える「eスポーツを活用した地域活性」を、企業(産)、行政(官)、学校(学)の3者がバックアップする体制を取ることで、よりそれぞれの強みを活かした、より持続可能な社会的意義のあるeスポーツを活用した地域創生事業へと成⻑することができます。

eスポーツ×人材育成プロジェクト「eスポーツeducation」

eスポーツ × 人材育成プロジェクト 第1弾「3BOXvol.1」開催の詳細

実行委員会では、学生たちの「eスポーツで地域を盛り上げたい」「自分たちから発信できることを伝えたい」「ゲームへの偏見をなくしたい」といった熱い想いをサポート。

1.事前授業
企画書作成・考案・実行や、PDCAサイクル、ロジカルシンキングなどの基礎から、学校の授業だけでは学べないことを企業から学び、実践することで、社会とのかかわりを学ぶ。

2.プレゼン発表
学生の考える地域の課題とeスポーツの課題を結び付け、研究。解決に向けての案を発表。

3.大会開催経験
eスポーツの楽しさを伝えたいという目的から、大会を開催。選手はオンライン参加、会場では観戦を実施。イベント内容の議論、スケジュールと進行の段取り、イベントを終えた振り返りを実践を通して学ぶ。

スケジュール概要

2021年12月から2022年7月末にかけて計27回の講義やミーティング、イベントの振り返りまでを行い、その中で学生に対して、eスポーツ界の現状や課題の共有、オンラインでの講義、プロジェクトに関して随時質問に応じるなど、学生主体のイベントとなるようバックアップいたしました。

イベント実施概要

イベントは、はこだてみらい館(キラリス函館3F)にて開催し、第1部(13時〜)では函館高専e-sports愛好会の学生たちによる「eスポーツの概要説明」と「愛好会の活動内容」の発表を行いました。第2部(14時〜)では、フォートナイトを採用したオンライン大会を開催。YouTube配信に加えて、同会場にて大会の様子を約50名が観戦、24チーム44名が大会に参加し、白熱した戦いが繰り広げられました。

■第1部

■第2部

実施結果

会場来場者数
・51名
大会参加者数
・24チーム(44名)
YouTubeチャンネル

・再生回数 994回再生(2022.9.7現在)
配信アーカイブ
https://www.youtube.com/watch?v=zv3QTVV5Zfc&t=425s

本プロジェクトは、2022年6月17日北海道新聞 「eスポーツ地域の起爆剤に」、2022年6月16日函館新聞 2022年6月16日「eスポーツで地域創生」、2022年7月12日函館新聞「函館高専eスポーツ愛好会地域活性化に貢献、市⻑賞受賞」に掲載と、地元メディアに数々とりあげられました。

また、地元企業や商店などと連携し、函館を活気づけようとした点が評価され、函館高専eスポーツ愛好会学生たちは函館市⻑賞を受賞するなど、地域に大きく貢献するイベントとなりました。

 

イベント後の感想

学生の声
◯仲間と協力して何かを成し遂げることで、こんなにも達成感が得られることを知った素敵な機会となりました。トラブルや大変なこともありましたが、自分たちのベストをつくせたと思います。来年度はこの経験を生かして更に良いものにしたいです。

◯一人一人仕事をしっかりやっていたし、特に配信関係は一回もやった事がないようなことが多い中、配信上でのトラブルがなく、無事に終わったことがすごいなと思いました。大会当日だけでなく、準備からたくさん動いていた人が多く、試験がある中での最高のパフォーマンスをしていたのではないかと思います。

◯普段できないことをさせていただきとても楽しく、またたくさん学ぶことができ、とてもいい経験になったと思っています。見に来てくれた方が時々うなずいてくれて、興味を持ってもらえる発表ができたと感じとても印象的でした。イベントをみんなで作り上げた達成感はとても大きかったです。

企業・行政・学校の声
◯学生達が熱心に準備し、こんなにも大きなことを成し遂げるとは思っていなかった。彼らにとって心に残る思い出ができただけではなく、準備を通して社会と、また大人と臆することなく接することができるという強みを持てたことは一生の武器となると感じる。

◯学生や地域と繋がりを持ちたいということがずっと課題として残っていたので、素晴らしい機会に参加させて頂いた。学生が常に前向きに取り組む姿、最後に皆で協力し合う姿には感動した。

◯様々な課題に直面したが、学生の成⻑に繋がるとてもよい試みであったと感じた。今後も引き続き続けていきたい。

今後の展望

「学生たちの次なる解決課題は高齢社会とバリアフリー!」と、既にVOL.2に向けて活動はスタートしています。

大人たちに届けたい自分たちの想い。学生と話を重ねてくる中で見えてきた、若者たちの抱える本音や、地域をもっと盛り上げたいという気持ち。学生が考案し、行動するこのイベントは、これから彼らが立ち向かうであろう社会の現実や壁が大きく立ちはだかります。その中でも手探りし、協力し、助け合い、目標に向かって邁進する姿は、大人としても尊敬するもので、学生たちの今後に大きく活かされる経験となるものと確信しています。

これからも、函館市から始まった、eスポーツ×人材育成プロジェクトは、学校だけでは学ぶことができない環境の中で戦う学生たちを全力で応援します。

そして、「eスポーツ×人材育成プロジェクト」による持続可能な地域創生事業で、学生たちとともに社会課題の解決を目指していきます。

 

函館高専e-sports愛好会について

2022年4月より正式に活動開始。部員数22名(2022年7月24日現在)。eスポーツでの大会出場、スキルアップだけではなく、介護施設でのeスポーツ講座等、函館市が抱える社会問題とeスポーツを結び付けた貢献活動も行う。

函館工業高等専門学校について

技術者に必要な実践的かつ専門的な知識および技術を有する創造的な人材を育成するとともに、実践的研究水準の向上に努め、道南地域唯一の総合的な技術系高等教育機関として均衡ある発展を図っている。